慶応大学医学部百寿総合研究センターと英国ニューカッスル大学の共同研究チームが、100歳以上の684人とその直系子孫などを対象に、大規模高齢者コホート研究を実施した。
長寿に関係すると思われる貧血や脂質代謝や糖代謝、肝機能や腎機能、炎症、細胞の老化とかかわりが深いテロメアの長さ、血液中の生物学的指標を測定し、余命や日常生活の自立度、認知機能などとの関連を分析した。その結果、すべての年代で、「慢性炎症」のマーカーが低いということがわかった。
肺炎になったときや傷をつくったときに起こるのは急性炎症である。一方、慢性炎症は、ふつうに生活できているが、見えないところで炎症が起きている状態だ。
炎症が起こると、炎症性サイトカインという物質が放出され、周囲の細胞も次々に炎症を起こしていく。加齢によって免疫応答の速度が落ちるため、炎症状態も長く続いてしまう。
動脈硬化や心筋梗塞、全身の老化などは慢性炎症といわれている。認知症で脳細胞に変化が起こるのも、遺伝子が傷ついてがん化するのも、慢性炎症が関係しているといわれるようになった。
慢性炎症が老化とかかわる以上、完全に防ぐことはできない。でも、食事や運動などの生活習慣によってある程度、炎症を軽くすることはできる。
野菜の色素には、抗酸化作用があり、酸化という炎症を防いでくれる。野菜摂取量が日本一多い長野県は、平均寿命を延ばし、第二位の島根県は心筋梗塞が日本一少ない。