ライフ

【大塚英志氏書評】保守を語る西部邁氏の最後の書

『保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱』/西部邁・著

【書評】『保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱』/西部邁・著/講談社現代新書/840円+税

【評者】大塚英志(まんが原作者)

「保守」の人々がずっとぼくには奇妙なのは、この国の現在が近代によって損なわれたとする被害者感覚だ。例外は江藤淳で、「近代」が女性たちに一度開いた可能性を奪ったことへの奇妙な怒りがあったが、その江藤でさえ、戦後を占領軍によって損なわれた言語空間として描いた。

「保守」の人々は、「近代」をそのつど、「戦後」や「民主主義」や「憲法」や「左翼」に象徴させ、「近代」によってかつてこの国にあった美徳が破壊された、だからそれを回復せねばならない、と呪詛する。

 だが、戦時下の「新体制」に関する当時の資料を調べていくと、同様の近代への被害者意識が繰り返し語られていることに気付く。当時は「近代」は「アメリカニズム」(その意味では今は「中国」が嫌悪すべき近代の象徴なのだろう)と名指しされたが、そもそも「近代」を嫌悪し「復古」を掲げながら、この国の近代史の中では最も破壊的「改革」を行おうとしたのが新体制運動だった。若い世代が「保守」による旧体制打破と「改革」に賛同する光景は今と全く同じだ。

 そして西部もまた「近代」をヘイトすることから免れていないと僕には思える。そういう「感情化」が、結局は「保守」が、近代批判を徹底出来ない理由だと彼が気付いていないとは思えない。

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン