国内

21世紀末には平均気温が4.5℃上昇 温暖化発生のメカニズム

21世紀末には平均気温が4.5℃上昇

 21世紀末(2076~2095年)の年平均気温が、20世紀末(1980~1999年)と比べて、全国平均で4.5℃上昇すると予測されている(2017年3月、気象庁発表『地球温暖化予測情報 第9巻』による)。

「今、地球は温暖化の真っただ中。じわじわと気候が変わりつつあります」

 東京大学大気海洋研究所副所長で教授の木本昌秀さんはそう話す。地球温暖化が問題になって久しいが、そもそも温暖化はなぜ起こるのだろうか?

「18世紀半ばに起こった産業革命以降、人間は石油や石炭などの化石燃料を地中から掘り出し、燃料にしてきました。これらを燃やすと大量の二酸化炭素が排出され、大気中の二酸化炭素が増えるため、気温が上昇します」(木本さん)

 地球の表面は太陽の光を受けて温められるが、同時に、その熱は赤外線で宇宙に放出されている。地表から出た赤外線の一部は、そのまま宇宙空間に放出されるが、一部は大気(=空気)中にある二酸化炭素やメタン、フロンガスなどの温室効果ガスに吸収された後、再び地球の表面に戻ってくる。これが「温室効果」と呼ばれる現象だ。大気中の二酸化炭素の排出量が増えすぎたことで地球の熱のバランスが崩れ、今まで以上の温室効果が生じ、地球温暖化が進んでいるのだ。

「もしも温室効果ガスがなかったら地球全体の平均気温は-18℃くらいになります。しかし、二酸化炭素の排出量が増えすぎると温室効果が強まって、地球の気温が上昇する。それが地球温暖化です」(木本さん)

 気象庁地球環境・海洋部気候情報課調査官の田中昌太郎さんによると、「過去100年で世界の平均気温は約0.7℃、日本の平均気温は約1.2℃上昇している」と言う。たかが1℃といえども、「2010年は日本の観測史上1位となる猛暑(岐阜県多治見市で39.4℃を記録)で、熱中症で1731人が亡くなりました。あの記録的な猛暑でさえ、普段の夏と比べて平均1.5℃程度気温が高かっただけなのです」(木本さん)

 予測通り、平均気温が4.5℃上昇したら、いまだ経験したことのない異常気象が起こるのは想像に難くない。

 また、日本はもともと雨が多い国であるため、想像を絶する大雨が頻繁に起こる可能性や、大雨によって土砂災害などのリスクも高まる。当然、防災面でも影響が考えられる。

「これまでの経験が通じないという意識を持って、地域のハザードマップを確認するなど対策を考えておくことも大切です」(田中さん)

 今回の大雪が異常気象の一端なのかはわからないが、肝心なのは、二酸化炭素の排出量を減らすことだ。『パリ協定』(2015年)で、世界の平均気温の上昇幅を、21世紀末時点で産業革命前から2℃未満に抑えるという目標が定められている。

※女性セブン2018年2月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン