一方、民泊と利害関係に立つホテル・旅館業界であるが、新たな動きとして興味深いのが星野リゾートの民泊事業参入だ。
星野リゾートといえば、各地で宿泊施設を展開するが、本拠地である軽井沢町では別荘の管理事業も行っている。オーナーが希望すれば別荘を民泊として活用する方針だという。現在、軽井沢町では民泊を認めない方針であるが、どのような結果になるのか注目だ。
異業種や個人事業主などの参入もみられる民泊事業であるが、周辺業界による運営サポート体制も充実度を増している。
ホテルシステムの開発などを手掛けるアルメックスと、IoTデバイスを集結させたスマートホステルを展開するand factoryが、民泊や簡易宿所(カプセルホテルやホステル)の運営に関するシステム「innto」の共同開発を発表。予約管理、スケジュールをはじめ、ゲスト管理、帳票、プラン・料金設定など、運営に関する業務全般を簡単に一括管理できるシステムだというが、注目なのがコストだ。
施設側でPC等用意できれば導入コストは0円で、1床(ベッド)あたり199円の従量課金制というから驚く(最低利用料金は月5980円/30室以下の場合)。ホテルのシステム導入といえば、かなり高額というイメージであるが、簡易宿所・民泊という小規模事業者をターゲットにしたシステムを大々的に展開していくというあたりにも、民泊事業の潜在力にフォーカスする周辺事業者のスタンスが明確にあらわれているといえるだろう。
このinntoは3月上旬に提供が開始されるというが、6月の民泊新法の施行に先がけ3月から各自治体で民泊事業届出の受付が開始されるタイミングと一致する。前述の楽天グループの民泊事業会社も3月15日に合わせて国内民泊施設の登録受付を開始する。
民泊を取り巻く環境が激変するであろう2018年は、“合法民泊元年”ともいわれる。加熱する民泊事業への参入と期待。ブームや現象という視点ではなく、利用者の安全・安心を担保できるのか否か、宿泊業としての実力を見極める1年にもなりそうだ。