スポーツ

今の日本への警告として突き刺さるA・セナの26年前の名言

1991年のブラジルGP Sutton Motorsport Images/AFLO

 本連載ではケネディ、サッチャーと世界を動かした政治家の言葉を取り上げてきた。だが、世界を動かすのは政治家だけではない。偉大なスポーツ選手もまた、経験に裏打ちされた言葉を通じて、世界を、人々の心を動かすのだ。落合信彦氏が、音速の貴公子と呼ばれ、伝説として語り継がれる天才F1ドライバー、アイルトン・セナの言葉を紹介する。

 * * *
 2018年は日本の“不正”を見たくないものだ。昨年、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レ子会社などの製品データ改竄が相次いだ。戦後、弛まぬ努力で品質改良、性能向上に努め、欧米メーカーを凌駕した「日本ブランド」が音を立てて崩れ始めている。いつから日本はこんな姑息なことをする国になったのかと思うとやりきれない。

 そんななか、私が思い出すのはアイルトン・セナの言葉である。政治家でもなく、経営者でもなく、なぜF1レーサーなのかと疑問を抱く読者もいることだろう。だが、次の言葉を読めば誰もが納得するはずだ。80年代後半、F1で最強時代を築いたホンダについて言及したものだ。

「ホンダがトップに立ったのはごく当然のことだった。彼らは誰よりも働き、誰よりも研究熱心で、誰よりも競争主義に徹していた。それがむくわれただけのことなのだ」

 日本人の「勤勉」「努力」をセナは高く評価していた。翻って現在の日本人はどうか。勤勉さは失われ、努力せずに誤魔化す者ばかりではないか。セナの言葉はこれだけではない。かつて私は彼にロング・インタビューを行ったが、当時の言葉は色あせるどころかむしろ輝きを増している。現在の日本人にこそ、届けるべきだと思う。

 アイルトン・セナ・ダ・シルヴァ、当時31歳のF1界の王者に私は、1991年8月、ハンガリー・グランプリ直前にハンガロリンク・サーキットの中で、1時間半に及ぶインタビューを行った。それほどF1には関心がなかった私が、セナに興味を抱いたきっかけは、オーストラリアのあるテレビ番組を見ていたからだった。番組内でかつてのF1チャンピオンがセナに次のような言葉をぶつけたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン