超音波は血管の中央に照射部を置き、同心円状に血管全体に照射する。血管から6ミリメートルの深い場所にも焼灼できるが、交感神経が集束して腎臓に入っていく腎動脈分枝部までは焼灼するのが難しい。このため大動脈側と腎臓側の2か所を焼灼している。
高周波のデバイスは血管の内側から直接4か所同時に焼灼できるが、深いところは難しい。ただデバイスの操作性は高いので、交感神経が集束する腎動脈分枝部のより近いところで何回かに分けて確実に焼灼することが可能だ。
「日本メドトロニックが、高血圧の治療患者を対象にした臨床試験の中間分析を発表しました。主要評価項目である3か月後の24時間血圧の変化は収縮期血圧(上の血圧)が対象群と比較して5mmHgと有意に低下するという結果が出ました」(苅尾教授)
腎デナベーションは、誰にでも効果が得られるわけではない。血管が硬化し、最高血圧と最低血圧の差が70を超える場合(例えば上が160で、下が90以下)は効果が少ないと考えられている。
現在、自治医科大学附属病院ではテルモとJIMROの腎デナベーションの臨床試験に向け、患者のエントリーを受付中だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年2月16・23日号