「昔は健康に関する情報を知る手段が少なかった。雑誌と本、そしてテレビの『ためしてガッテン』(NHK)、『発掘!あるある大事典』(フジテレビ系)くらいしかありませんでした。それに比べて、今は情報があふれていますが、その多くは垂れ流しです。テレビ番組にありがちですが、医師が出てきて『○○が体にいいですよ』とアドバイスしただけでは受け手はすぐに忘れてしまいます。体験者の生の声や裏付けとなる実験データがない健康情報は記憶に残らないうえ、信憑性も薄いのです」
『壮快』編集部が最もこだわっているのは「体験談」だ。同誌では、専門家の解説はもとより体験談を必ず記事に入れ込んでいる。
たとえば2918年3月号の「オクラ水」特集では、51才トラック運転手の越田隆憲さんが登場して、「オクラ水を飲んで血糖値が140mmから90mmに下がり、しかも壊死したひざ軟骨が再生した」という体験談を披露している。
「実際に体験者がいるのが弊誌の強みです。匿名のかたももちろん実在しています。医師や鍼灸師などが健康法を披露するだけでなく、実際にそれを体験した話を入れることで読者に信用していただける。非常に大事なことなので半ば意地になってやっています」(安藤編集長)
そのため、体験がなければ、どんなに引きがあるネタでも特集はしないと決めているそう。では、貴重な体験者をどうやって探すのか。
「『読者はがき』です。毎月200通ほど読者から送られてくるはがきは編集部員全員で回覧して必ず目を通します。そのうえで『納豆』『りんご』など項目別にストックしておき、関連した特集を組む際に電話や手紙で『取材をさせてくれませんか』と読者にお願いします。もちろん断られる時もありますので、体験者が見つかるまで粘り強く連絡を続けます」(安藤編集長)
『壮快』の読者層は60~70代女性が中心で男女比はおよそ3対7。50代や80代の読者も少なくない。そんな健康が気になる読者からはひっきりなしに編集部へ問い合わせの電話がかかってくる。
「前回特集の健康法は本当に効きますか」「ひざが痛いので何かいい治療法はありますか」といった内容に真摯に対応するのも重要な仕事なのだ。高齢で耳が遠い読者には編集部員がはがきを書いて“文通”することもあるという。
※女性セブン2018年3月1日号