日本政策金融公庫の『消費者動向調査』によれば、日本人の食の志向は「健康志向」がトップ。平均寿命も年々伸びる中で“健康であること”は今や全国民の至上命題になっているのだ。そこで、日本一の老舗健康雑誌『壮快』編集部に潜入。その編集会議をのぞいてみた。
読者の役に立つ記事を作るため、企画はシビアにジャッジする。
「企画会議は1か月に1回、行います。編集部員が1人10本の企画を持ちよります。それをプレゼンして『これがいい』というものに編集部員が投票する。その結果をもとに次号のラインナップを決定します」(安藤伸剛編集長、47才)
平均年齢40代半ばの編集部員たちはこの「10本」を絞り出すために日夜、頭と体をフル回転させている。
「酢ダイズのほかにお酢と食べ合わせがいい食材って何だろう」
「食べる甘酒の次は食べる米ぬかでどうでしょう」
企画会議が近くなれば、編集部内をこうした声が縦横に飛び交う。健康という1つのテーマだけで40年続いた雑誌だからこそ、まだ世に紹介されていないネタを探すのは困難を極める。
「みんな頭の中で、“この食材とこの食材で意外な健康効果が生まれたりしないだろうか”と妄想したり、医療関係者に“面白い健康法、ないですか?”と聞いてまわったりして必死にネタを集めます」(安藤編集長)
さらに、いいネタを見つけても、それだけでは記事にならない。
「『あの先生がこう言っていたから』というだけでは説得力がない。“自分でやってみる”ことがすべての基本。作って、食べて、実行することが大切ですね」(安藤編集長)
たしかに編集部を見回せば、いつでも簡単な調理ができるよう、ボウルや菜箸、お酢に黒酢、ワインなどが揃っているし、いつでも新しいストレッチや体操が試せるよう、布団も常備されている。
冷蔵庫には真っ黒の液体で満たされた大きな瓶が入っていた。安藤編集長に「これは一体…?」と尋ねると「今仕込んでいる新しい健康食です。中身はまだ秘密です」と煙に巻かれてしまった。
編集部員の日々の地道な努力の積み重ねからヒットが生まれているのだ。
「『壮快』独自の健康法を読者に紹介したい一心です。他誌やテレビの後追いは極力しないように心がけています。最近だと『オクラ水』を独自に発見し、取り上げて大きな反響をいただきました。こういった企画は、これからも増やしていきたい」(安藤編集長)
※女性セブン2018年3月1日号