ライフ

怒りを鎮めるにはグー・パー運動や口角を上げて笑顔が有効

アンガーマネジメント ファシリテーターの田辺有理子さん

 医療や子育て、ビジネスの分野でもアンガーマネジメント(怒りのコントロール法)が注目されている。一瞬の怒りが原因で人間関係が崩壊したり、犯罪者になってしまうこともある。そして、それは関係が深い家族とはいえ、いや家族だからこそ心地よい関係でいられる努力をしたい。特に自分が親の介護をする状態になった時にこそ心掛けたいものだ。

 日本アンガーマネジメント協会のファシリテーターとして介護職らの研修も行う田辺有理子さんに、そのテクニックを聞いた。アンガーマネジメントには発想の転換が大切だという。

「怒る原因や強度、許容範囲は、人によりさまざま。これは怒りの発信源が自分の価値観にあるからです。“こうあるべき”という自分の価値観は、自分にとっては当たり前のこと。そこへ自分の価値観と違うことが起きたり、認知症などで今までの価値観がひっくり返されるようなことが起きたりすると、怒りが湧きます。

 つまり怒りは、自分の大切な価値観を守るために起こる感情なのです。これをよく認識せずにいると、自分の中に怒りのもとがあるにもかかわらず、一方的に相手を責めてしまいます」

 家族介護の場では、弱い立場になった親に対しイライラすることに罪悪感を感じがち。

「でも、怒りを感じること自体は自然で当たり前のこと。怒りを感じてもよいのです。ただ、いろいろな価値観のある広い世の中で、または認知症などを抱えた親と、よい人間関係を維持するためには、自分の価値観とは違うこともあると気づき、受け入れていく発想の転換も必要です」

 怒りは誰にでもある自然な感情ではあるが、勢いに任せて爆発させると、人との関係を悪くしたり、無用なトラブルを生じさせたりして後悔することもある。助けや支えが必要になった親との関係では特に、注意が必要だ。

「怒りに火がついたときにちょっとしたテクニックでクールダウンを図りましょう。怒りのピークは6秒間といわれます。6秒間で怒りがなくなるわけではありませんが、なんとか意識をそらして6秒ほどやり過ごすと、冷静に対応できるようになります。まず習慣にしてほしいのが“怒りの温度計”。怒りの度合いを温度に置き換え、

0度…怒りがなく穏やか。
1~3度…イラッと不愉快。
4~6度…平静を保つが怒り。
7~9度…バクハツ寸前。
10度…頂点に達した激怒!

 今の怒りがどの段階か、数値で考えます。怒りを観察して数値化する作業で、冷静になることができます。

 簡単なテクニックとしては“グー・パー”。手先を使うことで、意識が手の動きの方へ向いて、怒りの感情から離れやすくなります。“口角アップ”も効果的。怒りでゆがんだ表情でも、がんばって口角を上げて笑顔を作ると、脳が明るいことを考えたと認識してポジティブになることが知られています。

 このほか歩く、自転車をこぐなどのリズム運動や単純作業の家事などをするのも有効。認知症高齢者がイライラしているときは『お茶でも飲みましょう』などと別の場所に誘い、風景を変えるだけで落ち着くこともあります。いずれもダイエットや筋トレのように、少しずつ習慣づけていくとよいでしょう」

※女性セブン2018年3月1日号

関連記事

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン