ライフ

「夫婦別姓」問題の本質的テーマは「戸籍制度」に他ならない

大前氏が考える戸籍制度の問題点とは

 夫婦別姓にかかわる問題は何十年も議論されているが、いっこうに具体的な解決策が浮かび上がらない。新刊『個人が企業を強くする』を上梓したばかりの経営コンサルタントの大前研一氏が、夫婦別姓問題、さらにその根幹にある戸籍制度の問題に切り込む。

 * * *
 内閣府が2月に発表した「家族の法制に関する世論調査」の結果によると、選択的夫婦別姓制度の導入について、「法律を改めてもかまわない」と容認する人の割合が42.5%に達し、過去最高となった。「法律を改める必要はない」と反対する人の割合は29.3%で、過去最低だった。

 現在、日本では民法第750条で「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と夫婦同姓が定められており、戸籍法によって夫婦同姓・別姓を選択できる国際結婚の場合を除き、夫婦のどちらかが姓を変えない限り法律婚は認められていない。

 このため、結婚時に妻の姓を選択したソフトウエア開発会社サイボウズの青野慶久社長ら男女4人が1月、日本人と外国人との結婚では同姓か別姓かを選択できるのに日本人同士の結婚だと選択できないのは「法の下の平等」を定めた憲法に反するとして、1人55万円の国家賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 青野社長らの主張は、全くその通りだと思う。だが、この議論は「夫婦別姓」の問題にとどまらない。より本質的なテーマは、社会的な不平等を生んでいる「戸籍制度」そのものだ。

 私自身、アメリカ人の女性と結婚したので、戸籍制度の問題は自分の家族の問題でもあった。というのは、妻が「入籍」されなかったのだ。日本で婚姻届を出したにもかかわらず、当時の戸籍謄本に妻の名前はなく、欄外に「米国籍○○○と結婚」と書いてあるだけだった。子供たちが生まれた後も、彼らは私の戸籍に入っているのに妻は欄外のままで、戸籍上、私の妻=子供たちの母親は存在しなかったのである。これは外国人に対する差別と偏見以外の何ものでもない。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン