芸能

桂米團治 東京落語に親しんだ耳にも馴染む「米朝の血」

米朝の長男・桂米團治の魅力とは

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、第二次大戦後に滅びかけていた上方落語を再興した桂米朝(2015年没)の長男、桂米團治の魅力についてお届けする。

 * * *
 昨年12月28日に大阪で「立川談春独演会」を観た翌日、せっかくなので天満天神繁盛亭に行ってみた。観たのは昼席(午後1時~4時10分)だが、開場前から長蛇の列ができていて、開演時には2階席まで超満員。年末休みの時期だからか、観光客が結構いるように見えた。若い男女の姿も目立つ。驚いたのは客席のマナーの良さ。誰もが演者に集中していて、ウケるところではしっかり笑う。大変に居心地のいい空間だ。

 色物は漫才1組のみで、あとは噺家が9人。『動物園』『紀州』『替り目』『掛け取り』『宗論』『蔵丁稚』(東京では『四段目』)など東京でもお馴染みの演目が多い中で、露の新治『狼講釈』は上方だけの噺。逆に桂吉の丞の『時うどん』が東京の『時そば』の型だったのには驚いたが、これは師匠の桂吉朝が始めたことらしい。トリの笑福亭鶴笑は噂に聞くパペット落語『義経千本桜』。人形を駆使したサービス満点の派手な高座はいかにも上方だ。

 東京落語を聴いて育った僕にとって上方落語はもともと身近なものではなかった。ただし、東京でも接する機会が多かった桂米朝だけは別で、僕は上方落語というより「米朝落語」の面白さに魅了された。

 その米朝の長男、桂米團治は毎年銀座ブロッサム中央会館(客席数900)で正月と夏に独演会を行なっている。今年1月14日のこの会で米團治が演じたのは『七段目』『花筏』『天王寺詣り』の3席。『七段目』は米團治の鉄板ネタで、サゲの「七段目で落ちたんやな」「いいえ、てっぺんから落ちました」は通常の「てっぺんから落ちたのか」「いいえ、七段目」の逆だが、これは米朝の型を継承したものだ。

関連キーワード

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン