国内

西日本最大のマンション管理会社 熊本地震で1か月復旧活動

大地震に遇ったら数日間をいかに無事に乗り切るかが大事(写真/アフロ)

 もしも、南海トラフや首都直下の大地震が発生したら、さあ、避難所へ急げ!!…というわけにはいかない。避難所に入れるのは、倒壊や火災で自宅を失った人や避難勧告対象区域の住民などが優先で、建物に致命的な被害のない戸建てやマンションの住民は、“在宅避難”を余儀なくされる可能性が高い。覚悟しておくべきは、電気・水道・ガス・スマホが使えなくなり、生活必需品も手に入らない数日間。これを無事に乗り切るために不可欠なのは、住民同士の迅速な連帯と“本当に使える備蓄の用意”だ──。

 香川県高松市に本社を置くマンション管理会社大手の「あなぶきハウジングサービス」(以下、あなぶき)。グループの総管理戸数は11万戸超と西日本最大級を誇り、その数字は現在進行形で増加している。

 あなぶきが他の管理会社と大きく違うのは、マンションの管理員を教育する香川県認定職業訓練・体験型研修施設「あなぶきPMアカデミー」をもつこと。また、ほとんどの管理会社が社外委託する緊急時のコールセンターを、同施設内に24時間365日体制で開設していることだ。

「私どものコールセンターでは、現場を熟知するオペレーターが、トラブルやご相談に対応しております。また、自然災害発生時には幹部が集結。即時に災害対策室を設置して、現地の被害状況の確認、支援スタッフの派遣などを決定します」(HG管理本部本部長・永易弓枝さん)

 2014年の広島土砂災害、2016年の熊本地震と、災害発生から数時間後には、高松はじめ全国から支援部隊が現地に向かっていたという、まさにマンション管理のエキスパートである。

「わが社では震災の場合、震度5強を超えると、コールセンターのすぐ隣の部屋に災害本部を設立します。熊本地震の際も、社長の新宮を筆頭に社員が続々と駆けつけました。私もすっぴんで向かいました。

 当時、熊本には私どもが管理するマンションが70棟ありました。現地スタッフは、まずはお客様の安否確認、マンションの損壊状況など、情報収集のために現場を巡回します。一方、本部のコールセンターの電話は鳴りっぱなしです。社員全員で対応しました」(永易さん)

 あなぶきハウジングサービスHG経営本部あなぶきPMアカデミー館長の藤原剛志さんは「私は熊本へ車を飛ばしました」と話す。

「とにかく早く現場に行かなきゃ…と、そればかりを考えていましたね。高松から13時間ぐらいかかりましたかね。『水とブルーシートが足りない』とのことだったので、途中で積み込めるだけミネラルウオーターも買い足しながら。約1か月にわたって、熊本で復旧活動を続けました」(藤原さん)

 すぐ動く。その機動力があなぶきの強みだと、藤原さんは言う。マンション管理契約上は、復旧作業の義務はない。それでも社員は現場へ向かう。

「去年、新卒入社した熊本出身の女性が、入社後しばらく経ってから、熊本の実家からあの時のあなぶきの復旧作業をずっと見ていました…と。『私も人助けがしたいと思って入社を希望しました』と打ち明けてくれました。感無量でした」(永易さん)

※女性セブン2018年3月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン