「フードロスが発生する要因の1つは、日本の食品業界の商習慣である『3分の1ルール』にあります。賞味期限を均等に3分割して、最初の3分の1を納品期限、次の3分の1を消費者への販売期限とするルールです。
例えば賞味期限6か月のお菓子の場合、メーカーは製造から2か月以内に小売に納品しなければならず、小売は次の2か月で販売しなければならない。それを過ぎると商品は棚から撤去され、返品・廃棄対象になる」
日本は、賞味期限が3分の1残っている商品を平然と捨てているのだ。諸外国の納品期限を見ると、アメリカは賞味期限の2分の1、イギリスは4分の3に設定されており、日本の設定は過度に短いことがわかる。
「納品期限が長くなるほどメーカーに余裕が生まれて、過剰な生産を抑えられます。日本でも、企業35社がお菓子や飲料の納品期限を実験的に賞味期限の2分の1に延長したところ、87億円分のフードロスが減少できる計算となりました。しかし、3分の1ルールの緩和は充分ではありません」(井出さん)
もう1つの大きな要因が、小売からメーカーへの「欠品ペナルティー」である。
「商品を予定数納品できなかったメーカーに対し、小売が要求する“賠償金”のことです。100個を納品予定だったのに納められなかったというケースが発生した場合、小売は“100個売れるはずの利益を失った”として、メーカーに補償金を求めたり、取引停止にしたりします。メーカーはこうした欠品ペナルティーを避けるため、過剰に製造し、在庫としている現実があります」(井出さん)
“もったいない精神”が世界で賞賛される裏で、真逆の実態を持つ日本の食品流通界。今、この悪循環に立ち向かう企業や団体が次々と現れている。
※女性セブン2018年3月22日号