◆核開発よりICBMが問題
今後行われる米朝交渉の過程でも核実験が行われるかもしれないが、そもそも、アメリカが強硬姿勢を取るようになったのは6度にわたる核実験ではなく、アメリカ本土を攻撃可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成が現実的になったからである。
核兵器の運搬手段であるICBMがなければ、アメリカ本土が北朝鮮の核の脅威にさらされることはないからだ。
核兵器開発計画の放棄を求めるにしても、そもそも「非核化」とは具体的にどのような状態を意味するのかが問題となるだろう。北朝鮮が「核開発計画を放棄する」と宣言しても、本当に放棄したのかを検証しなければならないため、検証の手順に関する交渉を行わなければならない。
検証作業には相当な年月を要するだろう。しかも、北朝鮮が全ての核関連施設をアメリカやIAEAに見せるという保証はないし、多くの施設が地下にあるだろうから、偵察衛星の画像だけでは全ての核関連施設を特定することもできない。
すべての交渉と検証作業が終わるまでの間、北朝鮮は必ず見返りを求める。文在寅大統領は一方的に北朝鮮への援助を続けるだろうし、中国も再開するかもしれない。さらにアメリカは気分を良くしたトランプ大統領が「大盤振る舞い」しないとは断言できない。
しかし、日本は拉致問題を抱えているため、北朝鮮への援助はもとより、経済制裁の緩和も難しいだろう。米中韓との共同歩調を取れない日本は「置いてきぼり」にされかねない。その時、日本はどのような姿勢で北朝鮮と接するのだろうか。
今年も日本はトランプ大統領の発言と行動に振り回されることになるのだろう。