ホアヒエップナム村ダグウのトゥアさん、サックさん夫妻
地元紙「フーイエン新聞」のファン・タン・ビン編集長(58歳)も昨年11月の文大統領の「謝罪」を知らなかった。
「韓国はベトナムとの経済交流をさらに進めていくと思う。でも、本当に友好関係になれるのか疑問だ。多くの虐殺事件が起きたベトナム中部のお年寄りは、今でも韓国人を怖がっているし、これからも韓国を許さないだろう。韓国人のベトナム戦争での行いは、決して忘れることができないものだ」
歴史が好きなビン編集長は、かつて2年かけて「フーイエン省の歴史書」を編纂した。その中で「韓国軍による虐殺の実態」も克明に記録している。
村人を一か所に集め、次々に銃で殺害し井戸に放り込んだ事例や、村人にすがる少女の髪を引っ張って引き離し、数人の兵士で輪姦したあと、銃剣で女性器をかき回して殺害した事例など、目を覆いたくなるような韓国軍の蛮行の数々を、記録に残している。
フーイエン省の虐殺現場の一つで、37人が犠牲となったドンホア県ホアヒエップナム村ダグウのトゥアさん、サックさん夫妻は、こう口を揃える。
「文大統領がどこで何を言ったのかは知らないが、被害者らに直接話したほうが良い。支援はベトナム政府を通さずに直接するべきだ」
42人が殺された同村ソムソイのタオさんは、「韓国の文大統領の名前を聞くと、虐殺事件のことを思い出して怒りが湧いてくる。昔のことはもう忘れたい」と口をつぐんだ。