国内

大前研一氏が考える東京一極集中解消に必要なこと

地方創生はどうすれば実現できる?

 これまで何度も“地方創生”が叫ばれてきたが、都市圏への人口集中はおさまるどころか、進むばかりだ。新刊『個人が企業を強くする──「エクセレント・パーソン」になるための働き方』を上梓したばかりの経営コンサルタントの大前研一氏が、東京一極集中を止める方法について考察する。

 * * *
 総務省が1月末に公表した2017年の「住民基本台帳人口移動報告」によれば、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は22年連続で転入者が転出者を上回る転入超過となった。都道府県別に見ると、転入超過は東京圏の4都県と大阪、愛知、福岡のみで、東京一極集中が一段と加速している。

 このため政府は東京一極集中の是正に向けた新法案を閣議決定し、今国会での成立を目指しているという。その概要は、東京23区の大学の定員増を10年間認めず、地方の大学や企業と連携して産業振興や専門人材の育成に取り組む自治体を対象とした交付金制度を創設する、というものだ。

 しかし、現在の中央集権の統治機構が続く限り、東京一極集中が解消されることはない。拙著『君は憲法第8章を読んだか』(小学館)で詳述したように、現実問題として地方の田舎は人口減少に歯止めのかけようがなくなっているし、東京一極集中は日本企業や日本の国全体の生産性を向上させるので、日本のためには望ましいことである。

 もう多くの国民は忘れてしまっているかもしれないが、安倍政権は2014年から「地方創生」の看板を掲げて担当相を新設し、莫大な予算を計上してきた。2020年までに地方から東京圏への人口転入を6万人減らすと同時に東京圏から地方への転出を4万人増やすといった目標を設定し、新しい交付金制度をいくつも作るなど様々な施策を打ち出したが、成果は全く出ていない。結局、税金を垂れ流しているだけである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン