ライフ

「個人情報なのでお答えできない」は医師から見ても行き過ぎ

医師・石原結實氏

 個人情報保護法の制定以降、何かを聞いても様々な場所で「個人情報ですから……」と情報開示を拒否されることが多い。だが、こうした風潮はどんな業界でも当たり前のように受け入れられるべきことなのだろうか──。医師・石原結實氏(69歳)の熱い主張を聞こう。

 * * *
 今の時代は、入院している友達や知り合いを御見舞に行きたいと思って病院に問い合わせても、「個人情報なのでお答えできません」とにべもない対応をされてしまいます。

 私も知り合いが入院したときに病院に問い合わせたんですが、入院しているかどうかすら教えてくれないから、ちょっと頭にきました。一昔前まで何号室に入院しているかまで教えてくれたのに。

 確かに私自身、医師なので、特定の患者さんについての問い合わせに「お答えできません」と対応せざるを得ない。これは内心では本当に心苦しく思っています。もちろん個人情報を利用して振り込め詐欺なんかを行なう悪い人たちがいるから規制せざるを得ないわけでしょうが、それにしても個人情報保護の風潮は行き過ぎていないか。せめて入院しているかどうかくらいは教えてあげてもいいのではないか。誰もそんな情報を悪用はしないでしょう。

 病院以外でも、今は高校や大学の同窓会名簿の冊子が届かなくなりました。以前は同級生の住所や勤務先が記載された冊子が届いたので、「今あいつはここにいるのか」と知ることができたのですが、分からなくなって寂しい限りです。同窓会も連絡先を知っている人を辿っていかなければならず、幹事は大変ですよ。

 結局、病院も学校ももし何かあったときの責任が取れないということなんでしょうが、全く不便な世の中になりましたね。

※週刊ポスト2018年3月23・30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン