ライフ

週刊誌隅々まで読む山田詠美、男性週刊誌はツッコミ所満載

男性週刊誌を語る山田詠美さん

 日常の折々の出来事を俎上にのせて毎週綴る女性セブンの連載「日々甘露苦露」をまとめた山田詠美さんのエッセイ集が発売早々話題になっている。タイトルは『吉祥寺デイズ うまうま食べもの・うしうしゴシップ』。

 美味なる食べもののことや夫婦のことから、折々のニュースについてまで、人生で味わう甘露と苦露をすくいとったエッセイ集だ。「目指すは甘くて苦くて無銭だけど優雅な日々」という詠美さんに書評家・倉本さおりさんがロングインタビュー。

 山田さんは、週刊誌を端から端まで読むという。ひとくちに週刊誌といっても、女性週刊誌と男性週刊誌ではだいぶ毛色が異なる。「いかにも男性週刊誌的」な感覚にはツッコミどころも多い様子。

「よく、生々しいヌードや際どい下着姿がばーんとアップになったグラビアの後に、食べ物のグラビアをこれみよがしに持ってくるでしょ? しかも、よりによってお寿司とか生ものの写真を載せたりする(苦笑い)。ああいう身も蓋もない感じの嗜好は女にはないよな、と思いますね。

 そういえば、『ノーパンしゃぶしゃぶ』なんていうものが日本にあった頃、男性の管理職が接待に使う、と当時の記事に書いてあったんですよ。それを女の子同士で読みながら『どうしてスカートの中身を見ながらしゃぶしゃぶを食べられるんだろう?』って笑い合っていました」

 山田さん自身、食と性が交差する瞬間を緻密に描写してきた作家だ。例えば、『風味絶佳』という作品集の中では、口元をだらしなく伝う西瓜の汁を拭われる情景が、一方的に甘やかされるセックスの象徴として差し挟まれる。

 また、女が男に食べさせるために拵えるさまざまな料理は、肉体をすみずみまで支配することの暗示でもある。いずれの表現も鮮やかで濃密な感情を呼び起こすものの、けっして安直なポルノには陥らない。

「性的なことと食べ物のことを結びつけて文学に持っていくには、きちんとテクニックを用いる必要があると思うんです。すくなくとも、直接結びつけて成立するものではない。ところが男性週刊誌の世界では、いまだにそこを勘違いしたまま訳知り顔でただ並べて、しかも悦に入っているところがあるから辟易しちゃう」

 男のロマン、とはよく言ったもの。自分たちで作り上げた城の中に安住するうち、それを醒めた目で眺める女性たちの姿をはじめ、現実がすっかり見えなくなってしまうことも多いようだ。

「『死ぬまでセックス』特集なんかも、気持ちはわかるけど、はっきり言って方向が間違っていますよね。妻を含め、世の中の女の人たちの気持ちを知りたいんだったら、むしろ『女性セブン』を上から下まで読んでみればいいのにって思います(笑い)」

撮影/五十嵐美弥

※女性セブン2018年3月29日・4月5日号

関連記事

トピックス

女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン