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老猫の介護 9割がかかる腎臓病から守る食事をプロが指南

猫を病気から守る食事の注意点をプロが指南(写真/アフロ)

「ご長寿時代」を迎えた日本。人だけでなく、猫の平均寿命も年々上昇傾向にある。一般社団法人ペットフード協会の『全国犬猫飼育実態調査』によると、2010年に14.36才だった猫の平均寿命は、2017年には15.33才に延びている。

 猫と暮らす人が増え続ける中、人も猫も高齢化を迎え、気になるのは老猫の介護をどうするかということ。そこで、老猫とのつきあい方、介護や医療、看取りなどについて綴る『猫の學校2 老猫専科』(ポプラ社)の著者で、5万匹以上の猫をお世話してきたキャットシッター歴25年の「猫のプロ」南里秀子さんに、老猫の食事、医療との関わり方などについて教えてもらった。【全2回・前編】

◆長生きの秘訣

──平均寿命が15才と猫も長生きになっている今、何才からが老猫になりますか?

南里:ペットフード業界や動物病院では、7才からをシニアとしていますが、野良猫は別として、室内で暮らす猫の老猫基準は12才からと私は考えています。

──これまで出会った中で最長老は24才とのこと。今は20才を超える猫も珍しくないとのことですが、長生きの秘訣とは?

南里:人との関係性と環境がポイントで、家人との関係が穏やかで良好であること、食事の栄養が充分で、過ごす環境が安全で清潔であることですね。たとえば部屋の中にゴザを敷いたら突然猫が吐くようになったことがあります。ゴザのい草に使われた農薬が原因で、それくらい猫は敏感です。煙草の副流煙を体に浴びると毛繕いのときにそれを舐めて、有害なものを取り込んでしまうこともあるので、環境への配慮は大事です。ただ、刺激がないことが良いわけではなく、適度な刺激を生活のハリとして、しなやかに対応できる猫は長生きしているように感じます。

よくうち(猫の森)に来た猫たちは元気になる、長生きしていると言われますが、それは自然や猫たちに囲まれた適度に刺激のある環境と、ある程度は猫に任せて、しつこく構ったり心配をしない距離感が良いのだろうと思います。心配性の人と暮らしていて、すぐに動物病院へ連れて行かれる猫が長生きするかというと、そうとも限りませんから、大らかにしているのが猫にとってはラクなのではないかと思います。

──南里さんは“十猫十色、全員違う”とおっしゃっていましたが、介護も「これが絶対に良い」というのは…

南里:ないですね。こうすればいいというマニュアルは作れませんし、その猫のことは一緒に暮らす人がいちばんよくわかるのですから、聴覚や視覚だけでなくて嗅覚や触った感じ、そういう五感を使って“感察”して、直感など感じる力を総動員して猫に尋ねるといいと思うんです。私は「どうしたい? 病院に行ってもいいなら行くよ?」って常にしゃべりかけています。英語の勉強と一緒で最初はわからなくても、話しかけ続けていると、なんとなく通じ合ってくる感覚があるんですよ。

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