ライフ

「目上の人への了解」否定で間抜けに見えるリスクが増大

どうやら「了解」していく流れに?(写真:アフロ)

 ビジネスマンたるもの、常に風向きを読み、アンテナの感度を上げ、自らを客観視しておかねばならない。世の中は変化し続ける。それはビジネスマナーにおいても同様だ。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 それを若者に教えるのもおっさんの役割ではありますが、いわゆる「ビジネスマナー」には思わぬ落とし穴が潜んでいます。ドヤ顔で「ちゃんと覚えとけ」と注意したら、じつは何の根拠もなく広まった「嘘マナー」で、相手に「あーあ、このおっさん、まんまと信じてるよ」と心の中で軽蔑されるケースは少なくありません。

 大人の危機管理というか転ばぬ先の杖というか、とくに気を付けたい3つの「信じていると恥をかくかもしれないビジネスマナー」をご紹介しましょう。

 昨今、あらためてネット上で盛り上がっているのが、メールにおける「了解いたしました&承知いたしました問題」です。3月13日に放送されたテレビ番組「この差って何ですか?」(TBS)で、この問題が取り上げられたのがきっかけ。番組の中で「目上の人に『了解しました』を使ってはいけない」という説が語られ、それに対してツイッターなどでいろんな人が「いやいや、それは嘘マナーだから」と批判の声を上げました。

 どうやら、10年ほど前からマナー本などで「目上の人に『了解しました』は失礼」という説が語られ始め、それが広まって、いつの間にか「『了解』より『承知』のほうがふさわしい」という“常識”が幅を利かせるようになりました。「了解いたしました」を禁止して「承知いたしました」と書けと指導している会社も少なくないようです。

 しかし、この問題に関しては、3、4年前から「それ、信じちゃダメ」という声が渦巻いていました。国語辞書編纂者の飯間浩明さんも、2016年6月にツイッターで〈「了解いたしました」は失礼な言葉ではない〉という説明を投稿。まとめとして〈「了解いたしました」と「いたしました」が入っていれば、敬語としては十分。〉〈自分が好みでない表現は使わなくていい。でも、使っている人に対して腹を立てるのは可哀相。〉と書いています。

 漢字が持つもともとの意味として……というもっともらしい解説もありますが、こじつけの域を出ません。「了解を平気で使うヤツはものを知らない」と思い込んでいる人は、すぐに考えをあらためましょう。あなたの知らないところで「了解を否定するヤツは嘘マナーを無邪気に信じているマヌケ野郎」と見られるリスクが、どんどん高まっています。

 ただ、自分がメールを出す相手が「信じている側」という可能性もあるのが、なかなか難しいところ。念のために「承知いたしました」を使うのはやむを得ないとしても、ドヤ顔で若者に「『承知いたしました』が正しいんだ」と指導したり、飯間さんが言うように使っている人に腹を立てたりするのは慎みたいものです。

 今までさんざん「了解は間違いだ」と指導してきたとしたら、「その説はガセだったみたいだな。申し訳ない」と過ちを認めて謝りましょう。そうすることで、器が大きそうな人間に見せることができます。

トピックス

真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン