ライフ

山田詠美 夫にするなら一緒にソフトクリーム食べられる人

山田詠美さんが語る夫婦円満のコツ

 日経新聞夕刊で初めての新聞小説連載「つみびと」がスタートするなど、話題が尽きない山田詠美さん。その最新エッセイ集が『吉祥寺デイズ うまうま食べもの・うしうしゴシップ』だ。日常の折々の出来事を俎上にのせて毎週綴る女性セブンの人気連載「日々甘露苦露」をまとめたもので、こちらも発売早々大反響となっている。「目指すは甘くて苦くて無銭だけど優雅な日々」という吉祥寺在住の山田詠美さんに、書評家・倉本さおりさんがロングインタビュー。

『吉祥寺デイズ』を語る上で絶対に欠かせない要素の一つ、それは10歳歳下の夫の存在だ。美味しいものにせよ、わくわくする映画にせよ、呆れるようなゴシップにせよ、山田さんが綴る生活の断片には、いずれも夫と交わした言葉や過ごした時間が含み込まれている。

 とりわけ印象的(衝撃的?)なのは「スノー」のエピソードだ。山田家では、小さくて愛くるしく、「かそけき者」と呼びたくなるものにすべてに「スノー」と命名する。その結果、ちっちゃな赤ちゃんや幼児を連れたママさんが通りがかると、夫婦揃って「スノー、スノー♪」の合唱が始まるのだという。

「もしかしたら私たち、吉祥寺界隈で“夫婦妖怪”として名を馳せているかもしれません」

 山田さんが可笑しそうに話す一方、当の夫は掲載されたエッセイを読むたびに青ざめているのだとか。心中お察しします、と言いたいところだが、その姿もまたチャーミングで微笑ましい。

「私の夫は本来、仏頂面で愛想がなくて、基本的には不器用な人。けれど突然ものすごく面白いことを言ったりする瞬間があるんです。どうやら私と一緒になってから開花したらしくて。自分がそういう、可愛らしいものを好きになる人間だとも思ってなかったみたい」

 他にも本文には、二人きりの日常を楽しく豊かに過ごすためのヒントとなるようなエピソードがたくさんちりばめられている。それらはまさに、山田さんが11年前に上梓した『無銭優雅』という小説の中で描いていたことだ。

「自分たちにしかわからない、“楽しい無駄”の要素って、後々すごく心を豊かにしてくれると思うんです。

 例えば、うちの実家は宇都宮なので、車で訪ねた場合、寄り道をしなければその日のうちに吉祥寺の家に帰ることだってできるわけですよ。だけど、わざわざ浅草でストップして1泊することで、予定外の贈り物をもらったみたいな気分になれる。

 いわば、自分たちに自分たちで贈り物をするような感覚ですね。日々の中に、そういう“楽しい無駄”がちょっとずつあるといい」

関連キーワード

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン