修験者が焼けた炭の上を歩く火渡りは、ノルアドレナリンにより集中力が高まり、熱さや痛みを感じさせなくさせている可能性がある。
ノルアドレナリンは同時に不安や恐怖、緊張、怒りなどの感情の高ぶりやイライラも生み出す。ストレスが続いたままでいると、ノルアドレナリンが分泌され続け、その影響で緊張が続き、筋肉などに強い疲労を感じるようになる。緊張のため体がガチガチに固まってしまい、いつも通りにできなかったというのは、このノルアドレナリン過剰の状況だろう。
その点、トップ・アスリートたちはノルアドレナリンの分泌バランスが実に見事だ。オリンピックという大舞台で、ノルアドレナリンをしっかり出して集中力を高め、なおかつ緊張しすぎたりしない。
どうやったらそんなことができるのか。日本女子カーリングチームのふるまいを見ていると、ヒントがあることに気づく。
「そだね~」
ふんわりした北海道弁が話題になった。チームみんなが北見市出身ということもあって、自然体の言葉が行き交っていた。これが副交感神経を刺激し、緊張の緩和になったと思う。
ノルアドレナリンは、交感神経を刺激する方向に働くが、自然体の会話とあたたかいつながりが安心感をもたらし、過度な緊張に陥らずにすんだのではないか。