国税庁長官就任という官邸の“論功行賞”を断われなかった佐川氏も、就任を勧めたとされる福田淳一・次官も、OBに言わせると「たとえ官邸に睨まれても、人事の鉄則に従って断わっていれば、こんな事態にはならなかった」(同前)ということになる。国民を騙しおおせたという意味だ。
接待事件の事態収拾にあたった自民党大蔵族のベテランが語る。
「当時の大蔵省幹部は、遊びは派手で銀行接待にもズブズブだったが、自信満々で政治家にズバズバものを言う官僚が多かった。今の福田次官や佐川氏は接待に溺れた先輩たちの姿を見ているから、その反省から真面目ではあるが、天下国家を論じるより、政治家の顔色を気にする役人としては小粒なタイプばかりになった。国会提出文書にしても、都合が悪い部分は黒塗りにして出せばいい。これまではそうしてきた。リスク管理が身上だった財務官僚が、文書を偽造するという杜撰な方法を取ったことは今も信じられない」
※週刊ポスト2018年4月6日号