「合法の風俗店でも危ない目には同じくらいあったし、禁止されている本番行為をこっそりやっている子なんてゴマンといるし、まさに違法なはずの管理売春そのもの。未成年が働いていることだって珍しくないし 、私が個人的にやっていることよりもひどくない? と思う。なのに面倒なことが多いし、店に何万円も抜かれるし、出勤しても客がつかなければ手取りゼロの日もある」
かくして個人的に身を売る生活を続けているというA子だが、その副業によるリスクや、続けることによる将来への不安を感じていないわけではない。
「病気とか怖いし、将来子供産めるのかな、ちゃんと結婚できるのかな? と思うときはある。でも、周りの友達だって、結婚を焦っていろんな男と会ったり、Hさせまくったりしてる。そういうのを見ると、売春やっても別にいいのかなって感じる。お金が儲かる分、マシなんじゃって」
もちろん、援助交際をしていることを知人や歴代の彼氏に告げたことはない。犯罪ではない、と開き直る一方で、少なからず後ろめたさを感じているからだ。しかしA子は最近、体を売ることへのハードルがさらに「下がっている」とも断言する。それはスマホの出会いアプリを使用するようになってからであるという。
「結局は“みんなやってるし”ってのが現実じゃん? 不倫専用出会アプリ、なんてのもあるくらいだし“みんなやってんじゃん!”って思わせてくれる部分に安心する。実際、出会ってエッチするのは問題ないでしょ? エッチする前におごってもらうのだって、別に問題ない。そうやってハードルが下がっていって、アプリ使って出会うのも、出会ってお金もらってエッチするのも、だんだん普通になってくる。ほら、私みたいに”フリーの風俗嬢”的な人が増えるの!わかる?」
自分の体を性行為とともに売ることを「援助交際」と言い換えることで罪悪感を減らし、一見、普通の女の子が売春を繰り返したように、出会い系アプリという容易な手段を手に入れて、さらに下がった敷居によってどんな現実が始まるのだろうか。そこには危険がある、体を大切にしろ、といった旧態依然の言葉でもって説得しても、何も響かないような、彼女たちなりの思考が出来上がってしまっているのだ。