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PTA、町内会の憂鬱な役員改選、どう改革すべきなのか

◆強制をやめたら参加者が増えた

 日本では一昨年、タレントの菊池桃子さんが「一億総活躍国民会議」の民間議員として出席した際、全員が参加しなければならない雰囲気のPTAはワーキングマザーの重荷になっているという趣旨の発言をし、世間の関心を呼んだ。それを機に、組織を改革しようという動きも少しずつ出はじめている。

 たとえば、PTAへの強制的な加入をボランティア制にあらためたり、役員をすべて廃止したりした例がある。

 すると、興味深いことに参加者がかえって増えたそうだ。また、どうしても会員が担わなければならない役務は、一人ひとりに引き受ける役割(委員)や、委員を務める年度を選択させたり、都合のつく日程を調整させたりするなどして強制色を薄めているところもある。

◆「任意」「選択」をキーワードに

 地域自治会についても、東京都の武蔵野市のように町内会組織を置いていない自治体がある。

 武蔵野市では、地域活動は基本的にボランティアが担い、ボランティア活動になじまないものは行政が行うことにしている。たとえは街路灯の管理や住宅側溝の掃除などは市が直接行い、市報は市から委託されたシルバー人材センターが各戸に配布する。家庭ゴミも、市が個別回収している。

 その一方、農村共同体とは異質なつながりをつくるため、市内に公設民営のコミュニティセンターを多数設け、ボランティアの地域住民によって組織されたコミュニティ協議会が運営している。市の人口の約1%にあたる約1400人が運営に関わるなど、住民の参加は活発だ。

 強制がなく、自分の生活を犠牲にしなくてもよいところに魅力を感じ、他の地域から武蔵野市に引っ越してくる人もいるという。

 PTAにしても町内会にしても、その多くは戦後に創設もしくは復活したものであり、70年以上たった現在では人々の生活も、価値観も当時と大きく変化している。

 都市部では地域に定住する人が減る一方、転勤などで一時的に住む人が増えている。複数の居所をもつ人も珍しくなくなった。また、女性が外で働くようになり、平日は時間がとれないし、休日は休息やレジャーに時間を使いたいという人が多い。生活範囲も広がり、居住地への関わり方も昔に比べると薄くなっている。さらに強制的に役を割り当てられたり、行事へ動員されたりすることに反発を感じる人も増えている。

 役員が改選され、新体制に移るこの時期こそ改革のチャンスである。制度疲労を起こしている組織に思い切ってメスを入れ、「任意」と「選択」をキーワードにした新たな組織へ改革してもらいたい。

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