通常のマウンティングは、「私はあなたより上よ」と暗に伝えることだが、犬山さんは「私が下」と伝えることで自己防衛をしたのだという。
「逆マウンティング」に共感する女性は多い。北海道在住の相沢美希さん(仮名・24才)が言う。
「自分で言うのも何ですが、私は身長165cmでわりとスタイルもいい。でも子供の頃から目立つと嫌がらせをされ続けてきたので、社内ではヒールの低いペタンコ靴を履いて、立つときは微妙に猫背をキープしています」
都内在住の主婦・杉山加奈さん(仮名・38才)も逆マウンティングはお手の物。
「昔から洋裁が得意で幼稚園の子供に持たせるエプロンならサッと作れるけど、ボスママに『私、お裁縫が苦手なんで作り方を教えてもらえますか』とすり寄っています」
『感情の整理ができる女は、うまくいく』(PHP刊)の著者で作家の有川真由美さんは、女性が女性に過剰に配慮する背景には、「調和」というキーワードがあると指摘する。
「女性は昔から村社会のなかでみんなで支え合って生きてきたので、“調和を乱さない”というルールを徹底して尊重します。出る杭は打たれる運命にある女性社会を生き抜くには、“私は調和を乱す存在ではありません”とアピールすることが何より大事。だから女性は忖度に走るのです」
きっと冒頭の投稿者の妻も妊娠が発覚した際、喜びとともに大きな不安を感じたことだろう。それまで培ってきた“調和”を乱すことになるわけなのだから…。男性が思う以上に女性が社会で生き抜くことは困難を伴うのである。
前出の永井さんが言う。
「投稿した旦那さんは奥さんのためを思っての行動だったかもしれませんが、怒りのままに行動すること自体が“男性的”で、働く女性の気持ちを理解しているとは思えません。もっと世の男性には、女性が社会で人間関係を築く上で繊細に行動しているということを知ってほしいです」
※女性セブン2018年4月12日号