「通話はおまけ、データ通信が主流」(佐野さん)の時代が本格化し、さらに高速、大容量に進化した通信規格「4G」が開始した。
「iモード時代のユーザーは主に若者が中心でしたが、スマホになると主婦や中高年までフェイスブックなどのSNSに夢中になりました。わざわざ連絡を取らなくても、誰かと常につながっていられる安心感を手軽に得られるところに、魅力があるのだと思います」(佐野さん)
50代主婦・B子さんも、嬉しそうにこう話す。
「娘の勧めで、ガラケーからスマホに変えてみたのですが、感覚的に操作できるので思ったよりも早く慣れました。遠くに住む娘や孫と毎日ビデオ通話ができるので、離れていても、近くにいるように顔を見られるのは嬉しいです」
5Gが本格的に普及したら世の中はどう変わるのだろうか。佐野さんが語る。
「5Gを使えば、大容量のデータを超高速でやり取りできるようになり、現在より格段に使いやすくなります。例えば、LINEの無料電話で話した声が相手に遅れて届く『遅延』現象も、5Gを使えばほぼ解消されるでしょう。
また、5Gはただ速度や容量が向上するだけでなく、世の中のさまざまなサービスをよくしていける可能性を秘めています。例えば、数秒の判断ミスが命取りになる自動運転でも、リアルタイムのデータ通信が可能になれば遠隔地からでも正確な操作が可能になるかもしれません。過疎地に住むお年寄りを遠隔操作の自動運転車で診療所まで運び、必要な薬などは定期的にドローンが配達する未来もあり得ると思います」
ソフトバンクとKDDIも、建設機械の遠隔操作を実現するため、企業との共同実験や研究を進めている。これが実現すれば、危険な工事を人が行う必要もなくなり、深刻化する人手不足にも対応できる。
身近な暮らしも大きく変わりそうだ。
「5Gの通信網が社会全体で実現すれば、家電やスマホがすべて5Gでつながり、ありとあらゆるものをスマホで操作できるようになります。そうなれば、AIと連動した冷蔵庫が、食品が不足すると自動的に注文して家に配達することも可能になります」(石川さん)
まさに夢のような話だが、決して遠い未来の話ではない。石川さんはこう話す。
「技術は日々進化するため、携帯やスマホの形状は変化していくでしょう。しかし、“人とつながりたい”という人の本能的な欲求はこの先も変わりません。それがある限り、スマホの進化とともに、人々のコミュニケーションも形を変えていくでしょう」
※女性セブン2018年4月12日号