国内

部活は教師への負担大、残業代出ないが休むと親から苦情

部活の顧問が教員の大きな負担に

 夜9時過ぎ、名古屋市内のとある小学校から20代の女性が姿を見せた。ガランとした校舎にはとっくに子供たちの姿はない。真っ暗な校庭をとぼとぼと横切り校門を出てきた彼女の表情は疲れ切っている。彼女は同校の教師だ。

「この小学校に赴任して3年になりますが、仕事量が多すぎて限界寸前です。とくに、部活の顧問がきつい。ずっと文科系で一度もラケットを握ったことがないのに卓球部の顧問をやらされているうえに、部活が終わっても膨大な雑務に追われて…。土日も遠征の引率をしなくてはならず、わが子の顔もロクに見られません。うちの子供はまるで“部活孤児”。運動会や授業参観には一度も行ったことがないから、部活動が廃止されるのは願ってもないことです」

 運動系986部、文科系227部。これは名古屋市内の小学校にある部活動の総数だ。市立小学校261校すべてで部活動を実施し、子供たちは日々活動している。

 しかし3月5日、激震が走った。名古屋市教育委員会が市立小学校におけるすべての部活動を2021年3月末をもって廃止すると発表したのだ。名古屋市教育委員会の野村直弘氏が語る。

「2017年から学校にタイムカード制度を導入したことにより、過労死ラインといわれる月80時間以上、勤務時間外に学校で仕事をしている教師が多数いると明らかになった。それにもかかわらず教員には超過勤務手当が支給されないことが法律で定められており、現状、時間外労働は無償で行われています」

 タイムカードによって教員の激務が可視化されたことから、業務内容の見直しが始まり、教員の負担を減らすため、部活動廃止となった。

◆教員の9割以上が部活の悩みを抱えている

 この動きは名古屋市だけに、また小学校だけに限ったことではない。日本全国の中学校や高校からも「部活を続けるのは厳しい」との声があがっている。

 現状、教員の約9割が何らかの部活の顧問を務めており、部活動の悩みを抱える教員は少なくない。元小学校教員で教育評論家の親野智可等氏が指摘する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン