ビジネス

脱法まとめサイト 収入源は仮想通貨のマイニングへ

脱法まとめサイトが新たに収入源としているのは

 著作権を無視したまとめブログや無断転載サイト、アダルトサイトの収益は広告を自動表示させるアフィリエイトのシステムを利用したものが主流だった。ところが最近では、訪問者が閲覧するだけで仮想通貨のマイニング(採掘)を自動的にさせることで利益を得る手法が広まっている。ライターの森鷹久氏が、脱法サイト管理が本業となった元システムエンジニアに、収益構造の変遷を聞いた。

 * * *
 関東在住の星川一夫さん(仮名・30代)が、いわゆる脱サラをし、ネットビジネス一本でやっていこうと決意したのは五年前。システムエンジニア(SE)だったが、サラリーマン収入を副業収入が超えてからちょうど半年経ったタイミングだった。

「会社の月給が手取り23万円で年収は350万くらい。いくつか持っていたホームページのアフィリエイト収入は月に40万円だったので、思い切ってネット一本でやってみようと……」(星川さん)

 趣味の「アダルトサイト閲覧」中に、ふと「もっと見やすいサイトが作れるのでは?」と思い、わずか半日でオリジナルのホームページを作り上げた。掲示板にアドレスを張ったり、ツイッターで宣伝アカウントを作ったりして、一か月後には一日に数万アクセスを稼ぐようになった。

 成功のきっかけは「日本人以外のアジア人にも見てもらえるようなサイトを作った」こと。中国語、韓国語に加え、タイなど東南アジア諸国のユーザーにも見てもらえるよう、多彩な言語の翻訳システムを組み込んだ。同様のサイトを二つ、三つと公開し、二年前には一日の総アクセス数は数百万をたたき出し、ホームページの広告収入だけでも月収100万円を軽く超えるようになった。しかし……。

「要は、ネット上の脱法サイトに上がっている有料動画を違法に転載しているだけでした。転載するためにいくつかの有料サイトに登録していて、自分のサイトのコンテンツ制作料はそこの会費だけです。月に数万円かかる程度だから、収入に比べて安上がりですよ。いつかはできなくなるだろう……と思いながら早5年。ズルズル続けちゃっている……」(星川さん)

 脱法サイトとは、日本国内では違法な無修正アダルト動画などを、海外のサーバーに置いたホームページを通じて主に日本国内の日本人ユーザーに閲覧させているサイトだ。昨年、これら脱法サイトを通じて違法な動画を撮影、販売していた人物らが摘発されたこともあったが、当局と脱法サイト運営者のいたちごっこは今なお続き、脱法サイトの根絶は「事実上不可能」(捜査関係者)という状態なのだ。

 こういった実情について、頭を悩ますのは何も当局関係者だけではない。アフィリエイト広告を手掛けるネット広告事業者らも、違法サイト、脱法サイトに広告を掲載することで収益を上げるユーザーの排除を目指す。広告主が望まないサイトに広告が掲載されてしまうのを防ぐためだけでなく、犯罪行為に収益を与えないためだ。

「アフィリエイト広告が掲載された違法なサイトを確知し、広告の掲載をストップさせるシステムの開発や、収益を凍結する通知を出しています。はっきり言って焼け石に水、といった状況で、そのシステムすらかいくぐる上級ユーザーもいます。でもやらないよりはマシで、当局側への”対処しています”というアピールにもなっている」(ネット広告代理店営業マン)

 前述の星川さんも、こうした当局、広告代理店側からの規制をうけ、これまでに閉じたサイトは数が知れないと話す。しかし、すでにアフィリエイト広告で収益を上げるというスタイルは「時代遅れ」とも語り、さらなる収益の増加に自信をのぞかせる。

「アフィリエイトで儲ける限界を感じていたところだったし、私のサイトに広告を載せてくれるような事業者、代理店は怪しげな薬やグレーなアダルト広告ばかりで、ユーザーがクリックしたり購入してくれることはまずない。収益が上がらない状態が続いていました。最近だと仮想通貨事業者の広告ばかりで、これもほとんど収益の増加は見込まれない。それに引きかえ、来訪ユーザーに仮想通貨の”マイニング”をさせる、といった方法は効率的で、収益の大幅な増加が見込まれました。現在は、アフィリエイト広告とマイニングの二本柱で、以前の1.5倍ほどの収入があります」

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン