「私も、介護の選択肢が見えずにもがき苦しんでいた1人。介護離職もしました。介護が始まってから7年ほどたった頃に出合った本で、『介護者サポートネットワークセンター・アラジン』の存在を知り、そこで親を介護している女性が集まる『娘サロン』に参加しました。ほかの人がどう介護しているのか、知りたかったのです。そこで“わからない”と声を上げると、先輩たちがすぐに教えてくれました。

 介護の方法は千差万別ですが、介護の生活で起こること、困ることはだいたい同じ。1人で抱え込んでいるときは見えなかった選択肢、工夫やアイディアも、一気に見え始めたような気がしました」

◆選択肢から選ぶのは自分。情報チャンネルを持って

 たとえば、介護保険が使える訪問介護や訪問看護、デイサービス(通所介護)やショートステイ、福祉用具のレンタルや家の修繕など、要介護者の健康や生活を支える資源。また、介護休業や介護休暇など、家族介護者が介護離職を避けるための支援制度。介護のストレスや悩みを共有したり、実用的な情報交換したりできる家族会などの集いや介護者支援団体。介護を託せる老人ホームなどの施設も、いずれも介護するための資源だ。

「これからの介護は、家族の誰かが犠牲になって抱え込むのではなく、これらの資源を存分に活用すること。最終的に選択肢の中から選ぶのは、それぞれの介護者の自由であり責任でもあります。

 そのためにも、社会の中にあるたくさんの資源にアンテナを張り、有効な選択肢を持つことが大切です。親の介護情報を共有・交換できるいちばん身近な仲間である配偶者がいないことで、情報チャンネルが少ない独身者は、ぜひ家族会などを利用して、情報収集しましょう」

【教えてくれた人】和氣美枝さん●1971年生まれ。32才のとき、母親がうつ病、認知症を発症し、手探りで介護する中で離職。離職中の経済的、精神的、肉体的負担の経験から、働く介護者のための情報発信と啓蒙活動を展開。介護者支援を行うワーク&ケアバランス研究所も主宰。

※女性セブン2018年4月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン