ライフ

女性写真家が撮っていた昭和30年代の学校風景

昭和32年3月。チャンバラごっこをする子供たち

 戦後間もない昭和30年代の学校の風景を撮り続けた女性写真家・齋藤利江氏が、写真とともに当時の様子を振り返る。

 * * * 
 これらの写真は昭和30年代、私が10代の時に撮影したものです。写真好きだった父の影響で中学生の頃から写真に夢中になり、地元・群馬県桐生市の保育園や学校などに忍び込んで撮影していました。作品は数々の賞をいただき、将来はプロの写真家を目指していましたが、17歳の頃に父が病に倒れ、写真家を断念。20歳で結婚し、家計を支えるために夫とカメラ店を始めました。

 18年前、60歳の誕生日に大きな転機が訪れます。父の17回忌が終わり遺品を整理していた時に、「利江のネガ」と書かれたクッキーの缶が出てきたのです。当時はまだ女性の写真家は珍しく、写真家になることに猛反対していた父にネガはすべて捨てられたと思っていました。懐かしいネガと40年ぶりに再会し、大切に保存してくれた父の愛情に触れ、感激で涙が止まりませんでした。

 この写真をきっかけに、還暦にして「写真家になる」という夢が再び動き出します。地元で開催した写真展が評価され、東京・銀座のニコンサロンで個展を開くことになり、これがNHKにも取り上げられ、瞬く間に写真家としての道が開かれていったのです。

 昭和30年代の日本は高度成長期に向かい、豊かではないけれど、活き活きとした人々の笑顔があふれていた時代。写真を通して当時のワクワク感を思い出していただけたら、嬉しいです。

●写真家・齋藤利江

◆これらの写真を収録した『三丁目写真館~昭和30年代の人・物・暮らし~』が小学館より発売中。発売を記念した写真展が東京・神保町「小学館本社エントランスギャラリー」にて5月末日まで開催中(9時~19時30分。土日祝除く。入場無料)のほか、写真家・齋藤利江さんの講演会『還暦から夢を叶えよう』が4月22日「小学館本社2階会場」にて開催。詳細はhttps://sho-cul.com/courses/detail/52まで

※週刊ポスト2018年4月20日号

関連キーワード

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン