クリーンナップを任される可能性は?(撮影/黒石あみ)


 仮にクリーンアップを任されるようなことになれば、「メジャーのピッチャーもどんどん厳しいコースを突いてきて、ケガのリスクが増す。そう考えれば、首脳陣も“下位でランナーを返す役割の選手も必要”という判断になってくるはず」(20年以上のMLB中継解説者経験のある高橋直樹氏)だとみられている。

 日本ハム時代にあったようなDH解除を使っての「1番・ピッチャー」といった“大谷フル稼働”の奇策も、当面はなさそうだ。

「大谷は昨年、日本ハムでの投手としての登板は5試合、投球回も25イニングと3分の1に留まっている。いきなり負担が増えることのないよう、今季は球団側が投球回数の上限を設定している可能性もある。長いシーズンで二刀流を続けるためには休養が何より重要ですから、DH解除も考えにくいし、中5~6日の登板間隔を崩すこともないでしょう」(前出・福島氏)

 大谷の活躍が続き、プレーオフに進出するとなれば、状況が変わる可能性は出てくる。何より、大谷の二刀流は短期決戦でこそ絶大な威力を発揮する。2016年のCS、日本シリーズでは、先発、抑え、DHの「三刀流」でチームを日本一に導いた。前出・福島氏はこういう。

「現状では、アストロズの地区優勝が堅そうですが、ワイルドカードでプレーオフに進める可能性はある。短期決戦では、ある程度、大胆な起用もあり得る。仮にプレーオフに進んだ時点で球団の設定した投球回数の年間上限を超えていて投げられない状況でも、打者に専念して上位で打席に立たせるといった策が取れるようになるのではないか」

 それでも、日本でのフル稼働時に比べれば物足りない気はするものの、大谷が、ワールドシリーズ優勝から16年間遠ざかっているエンゼルスの“救世主”になり得ることは間違いない。

※週刊ポスト2018年4月27日号

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