「認知機能検査は、認知症診断テストとして広く採用されている『長谷川式テスト(※注)』を簡略化したもので、軽度の認知症でも引っ掛かりやすい内容になっている。選別漏れがないように免許更新の敷居を高くしているようです。

【※注/1974年に医師の長谷川和夫氏が開発し、現在認知症診断テストとして広く採用されているもの。見当識、3単語の即時記銘、計算など9項目の問題からなる】

 医師が訴訟リスクを気にすれば、検査に引っかかった“怪しい人”をほぼ自動的に認知症だと診断してしまうといったことも懸念されます」

◆法律変えれば済む問題ではない

 一方で免許を取り消される高齢者の悩みは深刻だ。鳥取大学医学部教授で脳神経疾患や認知症が専門の医師・浦上克哉氏が言う。

「認知機能で『第1分類』と診断された患者さんが私に診断を求めに来た際、『運転を止めたら先生の外来に来られなくなり、さらに認知症が進んでしまう』と訴えられたこともあります」

 浦上氏は、認知症と運転能力は様々な角度から診断し、解決策を講じる必要があると指摘する。

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