ホームページによれば、今後、白衣の女医? 剣を構えた戦国女戦士? 中国風美女? など、まだまだダー子の扮装は続く。そんな彼女の横では、熟練詐欺師のリチャードが、客船の船長や政治家の秘書になりすまし、にこにこしたり、おどおどしたり。(寿司屋のおやじになったときはドリフの子供コントみたいでカツラが変だったけど)巧みなシニアコスプレ技でサポートだ。
しかし、ダー子とリチャードは、その役柄の様式美を踏襲した、わかりやすい「制服コスプレ」なのである。このドラマで本当に妙技を感じさせるコスプレは、ボクちゃん東出昌大なのだ。ゴッドファーザーの件では、「海外で散財する企業のおバカジュニア」になるため、ブルーのアロハ柄の半ズボンスーツやら、白地に陶磁器みたいな柄の半ズボンスーツ、赤地にザリガニ柄のやっぱり半ズボンスーツで現れた。もちろん、ずっしりした金の指輪とネックレス、ピアスと頭上のサングラスも必需品。これで百戦錬磨のゴッドファーザーもすっかり騙されてしまった。半ズボンスーツ三連発、効果絶大である。
続く第2話で「じいちゃんから譲られたさびれた島の民宿を守る青年」に化けたボクちゃんの格好は、「野球帽を前後ろに被り、首にタオルを巻く」。これも絶妙。
壺振りやCAのように制服が確立されていない人物をどう「それらしく見せるか」は、信用詐欺の基本でもあり、このドラマの肝でもある。脚本にはどれくらいボクちゃんの服装について書きこまれているのか。気になるところだが、長澤まさみの大胆なコスプレよりも、「そうか、自分もこういう格好したら、おバカジュニアに見えちゃうんだな」と気づかせてくれる東出昌大の「微妙なコスプレ」の数々に笑い、学ぶ場面は大いにありそうである。