国内

国会前デモ、日当が出るならば暇人が一斉に群がるはず

4月14日に行われた国会前デモ(時事通信フォト)

 都市伝説のようにネットの世界で流されているが、真偽が定かでない情報がある。そのうちのひとつに、「デモに参加すると○万円もらえる」がある。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、デモ日当問題について考察した。

 * * *
 警察発表で4000人が参加したという4月14日に行われた国会前デモだが、デモ嫌いの人々からは、「日当が出ている」と揶揄するネットの書き込みが多数見られた。まぁ、よくも根拠もないことを書き連ねられるものだ。募集要項から採用決定通知、領収書、通帳の振込み画面、日当配布所の受け渡しの様子写真などの証拠を併記しての揶揄ならばまだしも、憶測だけで書くのは愚の骨頂である。

 そもそも、デモ参加者が日当をもらっていたとしても、それはバッシングの良い材料になるのだろうか? そこがよく分からないのである。デモ参加者数は警察発表とはかけ離れた大幅水増しの「主催者発表」が出るのが常だが、「日当」に言及することで「こいつらは本気ではない」「カネを払わなくてはならないほど支持されていない」という批判をしたつもりになっているのだろう。

 だが、証拠を提示していないだけに、自発的に参加した大勢の人々から逆襲をくらって終わりだ。デモには組合等の組織が関与している場合もあるから、動員をかけられて交通費をもらう場合もあるだろうし、何らかの金銭的支援はあるかもしれない。それをもってしても「国会デモ参加者には日当が出ている」は針小棒大が過ぎる。

 デモや抗議活動への「日当」については、2013年の反差別デモで、とある参加者の男性が「最終地点まで行ったら3万円らしい」「日当がまだ振り込まれていない」などとツイッターに書いていた件が一つの発端だ。同デモ参加者に聞いたが、日当は出ていないとのことなので、当時デモに熱心だった差別主義者を「お前らと違ってオレらは資金潤沢だぞ、バーカバーカ」と揶揄する意図があったのかもしれない。

 あとは、沖縄・辺野古の基地工事反対派団体が現地の様子をレポートする人員に5万円を提示したことも左派活動の「日当」の根拠となった。沖縄への往復交通費、宿泊費用、レンタカー代を考えると5万円は「日当」と呼べるものではないのだが……。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン