開業日の朝。新大阪を最初に出る「ひかり2号」に相方と一緒に乗務しました。まだ線路の路盤が固まっていない場所もあったため、当日の最高時速は160キロに制限され、新大阪~東京間は所要4時間のダイヤが組まれていました。
しかし誰もが時速210キロの世界最高速度を期待している。そこで京都出発時は時速70キロほどでわざとゆっくりと走り、遅れを回復させるためと称して、大津を過ぎたあたり、試運転時に路盤がしっかりしていることを確認した場所で、最高時速210キロを出しました。車内の速度計に張り付いていた方々は拍手喝采だったそうです。その後同様に時間を調整しながら、何度か時速210キロを出しました。
ただ、ゆったりと組まれたダイヤだったため、結局、東京には早く着きそうになってしまいました。時間を合わそうと最後は徐行運転したので、隣を走る山手線に追い抜かれたんです(笑い)。懐かしい想い出ですね。
取材・文■白川淳
※週刊ポスト2018年5月4・11日号