春日:ジェームスさんは、先に挙がった2作品(※『独眼竜政宗』1987年、『葵 徳川三代』2000年)や『八代将軍吉宗』(1995年)でも、主人公を単なるヒーローではなく「残酷なこともできる人物」として描いています。

三木:うん。やっぱり人間って、キレイゴトでは済まされないのが本質だから。

春日:近年の大河はそういうダーティーな部分を“なかったこと”にする傾向がありますよね。特に『江~姫たちの戦国~』(2011年)では、浅井家の三姉妹を描く一方、嫡男の万福丸を登場させなかった。史実では織田によってむごい仕打ちを受けたのですが、触れられてもいません。

磯田:串刺しにされての死刑ですね。

春日:橋田壽賀子さん脚本の『おんな太閤記』(1981年)は、同じようにホームドラマ大河と言われながらもそこをちゃんと描いていた。少しずつ改善されつつあるとはいえ、近年の大河は絵空事っぽく見えてしまいます。

三木:そういう複雑で深みのある人間関係を描写するかどうかは、つまるところ「視聴者を信じられるかどうか」だと思います。僕は視聴者を信じてとことんやるべきだという考えですね。今の脚本家は制限が多くて大変そうだけど。タバコを吸うシーンすら描けないし、政宗の疱瘡だって、今の時代ならあそこまで表現できたかどうか……。

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