国内

同居・施設でもなくサ高住で認知症落ち着き朗らかになった母

サ高住で認知症が落ち着いた母の話(撮影/アフロ)

 54才で認知症の母(83才)を介護するN記者(女性)。母は今、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に住んでいる。要介護になった当初は、「同居か?」「施設か?」の二択しかないと思っていたが、サ高住を選び、症状が落ち着いたという。

 * * *
 ひとりっ子の私は、いつか必ず直面する親の介護について、わりと早くから覚悟しているつもりだった。が、「覚悟」は必ずしも「現実」を支えない。父が急死して認知症の母に直面、あわてて考えた選択肢は、同居して世話をするか、施設に預かってもらうか、それくらいしかなかった。

 父臨終の日、とりあえず私たち夫婦と娘が住むマンションに、母を迎えた。母と私の自宅は電車で30分程度の近距離ながら、混乱する母をひとりにできなかったからだ。

 だが“とりあえず…”にもかかわらず、母との同居は、想像以上のストレスフルだと思い知ることになった。

 当時、わが家は娘が高校受験という試練の時を迎えていた。そこへ母が突然来たことで生活がすべて母中心になり、何かとギクシャク。また、私が仕事をする間、手持ち無沙汰にウロウロしているかと思うとフラリと外出してしまう母にイライラ。父の生前、お互いの家を行き来したときには感じたことのない“他人の違和感”があった。

 同居に前向きになれない私の内心を察したように、小さなことで口論になったとき、「あんたの家のお客さんになりたくない。帰る!」と言い捨てて、母は自宅に帰った。わずか3週間の模擬同居。ひとりで帰った母を心配するどころかホッとしたことに、さらに自己嫌悪が深まった。

「お客さんになりたくない」

 認知症になって以後、母が発した名言中の名言だが、これには私への嫌み半分、そして自立して生きたいという、母らしい叫びにも聞こえた。

 というのも30年ほど前、独立心から私が実家を出たとき「嫁入り前の娘が!」と激怒した父をなだめ、母は引っ越しを手伝ってくれた。古いアパートの部屋で「すごいわね~Nちゃん。ママは一度もひとり暮らしをしたことないわ」と、うらやましそうにつぶやいた母が印象的で、ずっと心に残っていたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン