朝鮮半島情勢は今年に入って、正恩氏の言葉通りの展開を見せる。平昌冬季五輪への北朝鮮参加で、韓国はすっかり“武装解除”。正恩氏が非核化の意思を示すと、米国は首脳会談に飛びついた。頭越しの米朝接近に焦った中国は冷え込んでいた北朝鮮との関係改善に転じた。
「西側の憶測とは違って、正恩は緻密な戦略家だ」と、労働党幹部出身の脱北者は評価する。
「国内の市場を拡大させ、住民の生活は金正日時代よりは良くなった。正恩は先代よりも聡明だ」
●しろうち・やすのぶ/朝鮮半島情勢に精通するジャーナリスト。主な著書に『猛牛と呼ばれた男 「東声会」町井久之の戦後史』『昭和二十五年 最後の戦死者』。共著に『朝鮮半島で迎えた敗戦 在留邦人がたどった苦難の軌跡』など。
※SAPIO2018年5・6月号