元外務相主任分析官の佐藤優氏


片山:日本人は首相公選や大統領制に対して、無意識の抵抗があります。ご指摘の通り、我々日本人の無意識を支配して、独裁的な民主主義を否定するくびきとなっているのが天皇制です。

佐藤:現下日本の政治状況では、天皇制反対と反安倍政権の動きも結びつかない。

片山:逆に今上天皇を立て、平和、民主主義、日本憲法を擁護していこうと考えているリベラル言論人も少なくない。今上天皇の存在を反安倍政権につなげて論じる人も増えています。

佐藤:こう考えていくとやはりポスト平成の時代に皇太子がどのような天皇像を目指すかで日本の社会は大きく変わりそうですね。

片山:そう思います。民主主義から独裁へと歴史の歯車が逆方向に回り始めた時代に、皇太子に神聖天皇像を担わせようとするのか。人間天皇を突き詰めるのか……。答えは間もなく出ます。

●さとう・まさる/1960年生まれ。元外交官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。国際情報局分析第一課などで活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。2005年に執行猶予付き有罪判決。近著に『十五の夏』など。

●かたやま・もりひで/1963年生まれ。思想史研究者。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。専攻は近代政治思想史、政治文化論。近著に『「五箇条の誓文」で解く日本史』など。

※週刊ポスト2018年5月4・11日号

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