結婚の多様さ、人生の豊かさを教えてくれる「晩婚本」
42歳の時、6年付き合った恋人にフラれ、崖っぷちに立たされた柏木さん。焦燥に駆られ、「婚活」へと踏み出す。ネットの婚活サイトはプロフィール写真が重要と聞けば、スタイリストに服を選んでもらい、プロのカメラマンに撮影してもらうという生真面目さ。婚活サイトの具体的な使い方も書かれているので、ネット婚活を始めたい人には役立つだろう。
とはいえ、何人もの男性とメールのやりとりをし、ダブルヘッダーで会いに行っても、急に連絡が途絶えたりと、トントン拍子には行かないのが40代の婚活だ。結果が出ず、「婚活疲れ」に陥った柏木さんを癒したのは、仕事で関わってきた「占い」だった。運気アップのために占いの力を借りながら、ついに出会ったのが今のご主人。「こんな都合のいい相手がいるわけない」、と思っていたら「いた!」というような理想の相手。なぜ柏木さんは運命の相手に出会えたのか? 柏木さんに話を聞いた。
「最初は、大卒以上、年収800万以上、自分がフリーランスで安定していないので、相手は会社員か公務員、と思って探していたんですが、結局、自分がわかってなかったんですね。私が求めているのは、そうした条件でないと気付くのに時間がかかりました。
結局はその条件通りの人と結婚しましたが、私は、世界のどこでも生きていけるような人を求めていたんです。といっても、財産があるとかではなく、例えば農業ができるとか、手に職があるとか、そういうタイプの人。さらに言えば、都会で働きながらも週末は田舎で過ごすような暮らしがしたかったんですね。そんな人はいるはずないと思っていたら、いたんです(笑)。
年齢も年齢だから、ターゲットを広くとか、ストライクゾーンを広くと言われがちですが、それよりも、むしろ狭くてもいいから、自分のアイデンティティとか理想(本書では“マイカースト”と呼んでいる)をはっきりさせることが大事だと思いました。ただ、自分の理想って、自分一人でウンウン考えて出てくるものではなく、人と話すことで見えてきたり、人に言われて気付くものなのかもしれません」
本書には、同棲から結婚に至るまでの紆余曲折も書かれており、晩婚ならではの苦労と同時に、普遍的な男女の相違も垣間見られる。いくつになっても結婚は一筋縄ではいかない、ということか。