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明治維新の肉食ブームから150年、日本の肉はようやく「文化」へ

とんかつの地位も上がった(写真:アフロ)

 日本人の食卓における「肉」の存在感は大きくなり続けている。牛、豚、鶏、それぞれに名店も増えた。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 国内における「肉ブーム」が新しい展開を見せている。これまで焼肉、ステーキ、かたまり肉など業態や提供方法に違いこそあれど、国内の「肉食」は「牛食」とほぼイコールで結ばれてきた。このGWにも全国で数々の肉関連のフェスが行われている。

 もっともこの数年、国内の肉食文化にわずかながら変化の兆しが見えている。まず目に見える変化としては畜種の変化だ。それまでの「牛」一辺倒から、この数年明らかに「鶏」「豚」シフトが進んでいる。2015年に「第3次」と言われから揚げブームが起き、翌2016年には大手飲食チェーンが次々に焼鳥業態へと滲出した。ワタミグループによる「三代目 鳥メロ」はわずか2年弱で120店超の出店ペースで急拡大。モンテローザの「豊後高田どり酒場」やダイニングイノベーションの「やきとり家 すみれ」なども短期間でそれぞれ数十店規模で出店が進んでいる。

 チェーン業態だけでない。ミシュランで毎年紹介される銀座の焼鳥店は海外の客も含めて、連日満員。その他の実力店には、予約数か月待ちという店もある。そうした名店からの独立も含めて、新店も続々とオープンしているのが焼鳥界なのだ。

 他の業態でも、丸鶏を専用オーブンで焼くロティサリー専門店も目につくようになった。この流れは、家庭にも流入しつつあり、昨年、大手家電パナソニックからは家庭用のロティサリーグリルが発売された。超一流店からチェーン店、そして家庭までさまざまな場面で鶏肉の存在感が増している。

 では、豚は鶏の後塵を拝しているのかというと、豚肉もかつてないほど注目されるようになった。象徴的な例が「とんかつ」だ。これまでごく一部の実力店で提供されていた、技術を要するようなハイレベルなとんかつを提供する店が増えたのだ。極厚の肉にじんわり火を通し、内部を絶妙のロゼ色に仕上げる店には長蛇の列ができるようになった。

 その他、豚肉の塊肉やTボーンステーキなどを出す都心の豚肉料理店も連日にぎわい、豚肉を使った「火鍋」専門店も人気を博している。

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