万葉倶楽部の高橋弘会長
「我々はすでに約10億円を投じており、その補填を求めて東京都に損害賠償を請求しました。築地の業者には補填しているのだから、我々にも払われないとおかしい」(高橋氏)
東京都は、「損害賠償は基本協定に基づき『応じられない』と伝えています」(市場政策課)と話した。高橋氏がここまで強硬な姿勢を見せる理由について、ある神奈川県の経営者はこう語る。
「今や『小田原の温泉王』と称される高橋さんは元々、家業の酒屋から写真DPE事業に進出して全国チェーンを築いた。その後、デジタルカメラの普及で将来性に見切りをつけ、温泉事業にシフトチェンジして成功。機を見るに敏な辣腕経営者です。豊洲事業は、自らのビジネスの“集大成”と位置づけているので、妥協はできないのでしょう」
5月1日、小池都知事は万葉倶楽部を訪問した。しかし、「謝罪もなければ理解できる説明もなかった。これでは何も変わらない」と、高橋氏は顔をしかめたという。解決は遠い。
●文/伊藤博敏(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2018年5月18日号