ライフ

【著者に訊け】早瀬圭一氏 青山学院教授婦女暴行事件の真相

『老いぼれ記者魂』の著者・早瀬圭一氏

【著者に訊け】早瀬圭一氏/『老いぼれ記者魂 青山学院 春木教授事件四十五年目の結末』/幻戯書房/2400円+税

 事件発覚は昭和48年3月。今からもう45年前になる。同2月11日と13日にわたり、青山学院大学法学部・春木猛教授(当時63)が、同文学部4年〈A・T子〉を暴行し、婦女暴行傷害容疑で逮捕されたと、3月20日付の朝日新聞がスクープ。セクハラという言葉もまだない時代だけに世間は騒然となった。

 この時、毎日新聞社会部記者として取材にあたったのが、『老いぼれ記者魂』の著者・早瀬圭一氏(80)だ。しかし春木はあくまで同意の上だったと犯行を否定。その暴行が二度にまで及び、T子が翌日〈バレンタインデーのチョコレート〉まで春木に渡していたことなど、誰が考えても、「不可解な印象」を拭えなかったという。が、結果的に彼は起訴され、懲役3年の実刑が確定。再審請求も叶わなかった。その春木亡き今、元記者は一人、闇に立ち向かう。

「あの日はもう大騒ぎでして。本来、警視庁担当がやるはずの事件に、僕ら遊軍記者も駆り出されたのです。その後、T子の父の共同経営者で〈地上げの帝王〉こと最上恒産の早坂太吉が事件直後に慰謝料と辞任を要求しながら急に撤回したことや、T子が中尾栄一代議士と知り合いで、卒業後彼の秘書になったこと、学内の派閥争いや厚木校舎用地購入のナゾ等、背後関係を知るほど違和感が募った。

 ただしノンフィクションである以上、証拠のないことは書けない。「現時点で判明したことだけを書き、判断は読者に委ねよう、と」。

〈秋も深まった十一月中旬の午後、JR三鷹駅前からバスに乗った。終点でバスを降り、電話をかけた。声の主は、電車の線路沿いに五分も歩けば「鍼灸治療院」の看板を出した家の前に着くと、道順を教えてくれた〉

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「1時間20万円で女性同士のプレイだったはずが…」釈放された小西木菜容疑者(21)が明かす「レーサム」創業者”薬漬け性パーティー”に参加した理由「多額の奨学金を借り将来の漠然とした不安あった」
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン