複数の出席者の話によれば、その場の議論は決して穏やかなものではなかった。騒動は収束するどころか、混迷を増すような雲行きになったという。
「貴乃花親方は“告発状を提出したのは間違いだった”と謝罪した一方、その一部の内容については“間違いではなかった”とも発言した。これを巡り、高田川親方や執行部ナンバー3で巡業部長を務める春日野親方(元関脇・栃乃和歌)、元理事の陸奥親方(元大関・霧島)らを中心に、“本当に反省しているのか”といった声があがり、場所後の理事会でも貴乃花親方の発言について審議することになったのです」(同前)
こうした経緯もあって、“貴乃花親方の謝罪は本心からのものではないのでは”という空気が場所前から漂っていたのだ。総会では、同じ一門から理事になった阿武松親方(元関脇・益荒雄)が終始、貴乃花親方を擁護したというが、“貴乃花一門”も微妙な状況にある。同一門の親方の一人はこういう。
「一門の名称から『貴乃花』の看板を外したいという申し出が貴乃花親方からあり、“阿武松グループ”になることが決まったが、正直、戸惑っている。これまで貴乃花親方についてきたが、貴ノ岩の事件以来、仲間に相談もなく突っ走った。我々は今でも『10年後には貴乃花親方が理事長になる』と信じているが、一方で、このまま阿武松親方のもとで一枚岩になれるのか、不安も大きくなってきた」
同じ一門の親方でさえ、どんな行動に出るかわからない。だからこそ、協会執行部の疑心暗鬼も深まっていくのだろう。
※週刊ポスト2018年5月25日号