「今年は“工事車両が入るから”という理由で本堂裏広場の一部が使用禁止になったんです。そうなるとスペースの問題で、すべての町内神輿が入りきらなくなり、一部が敷地外で待機することになります。一堂に会する壮観さが見せ場なのに台無しです。どうして突然…」(氏子の1人)
最大の問題が、最終日に行われる祭りのクライマックスの「宮出し」だ。浅草神社の3人の神様をのせた「本社神輿」の3基が、浅草寺の境内を練り歩いた後、神輿は各町会の担ぎ手にリレーされて町内を巡る。
「神輿は毎年、朝6時に神社を出発します。浅草寺サイドからは“来年は7時までに境内を出て行ってくれ”と要求されているのですが、それは現実的には不可能です。約1tの神輿を約100人が担ぐので、そんなに急いで移動するのは危ない。もともと“8時まで”がルールだったのですが、5年ほど前から“7時30分まで”になり、今年はついに“7時15分まで”になりました。今年でもギリギリ間に合うかどうか。来年の“7時ルール”ならば、現行のような宮出しは諦めざるを得ません」(前出・担ぎ手団体幹部)
なぜ浅草寺サイドは祭りの運営に水を差すような要求をするのか。もちろん浅草寺側にも言い分はある。
「三社祭は“けんか祭り”と呼ばれるように迫力がウリですが、一部には入れ墨を見せびらかすような荒々しい男たちが集まることが“今の時代にそぐわない”という意見もあります。浅草寺側が祭りの規模の縮小を図るのも理解できます」(町内会関係者)
三社祭の先細りの背景には、浅草寺と「浅草観光連盟」のすれ違いも指摘されている。
「8年前、観光連盟が8階建ての浅草文化観光センターを建設する際、浅草寺は“観音様を見下ろすビルはいかがなものか”と反対しました。訴訟の末にセンターは完成しましたが、両者のわだかまりは消えず、当時の観光連盟のトップが三社祭の総代も務めていたために、浅草寺サイドが祭りまで“敵視”するようになったのではないか」(浅草寺関係者)
浅草寺に取材すると「お答えできない」との回答だった。今年は荒れなければいいが。
※女性セブン2018年5月31日号