この糖鎖の違いを検出するために開発されたのが、S2,3PSA検査法だ。プラスチック板に非常に小さな流路を組み込み、サンプルを入れ電極をかけると反応が違うため、流れる距離に違いが生じ、その距離の差で判別を行なう。
「これは5ナノリットルというわずかな血清だけで検査できます。この検査法を用いて前立腺肥大症と前立腺がん患者合わせて528例を測定したところ、精度は8割と従来のPSA検査に比べて診断率が高いという結果になりました。これは約40%の針生検を回避できることを示唆しています」(大山教授)
さらにこの検査は、がんの悪性度を測るにも有効だ。この検査法は国内で特許申請され、2年後の販売を目指し、臨床試験を行なうための準備が進んでいる。PSA検査後の2次検査はもちろん、将来的には1次検査としても導入の期待がかかる。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年5月25日号