「私たちが手にしているエビデンスからいえるのは、サウナには血圧を下げる効果があるということです。それにより自律神経が安定性を増し、抗炎症作用などが期待できるため、脳卒中のリスク因子が減っていくのだと考えています」

 この研究成果は意外にも思える。これまではむしろサウナは脳卒中や心筋梗塞を引き起こすという印象が強かった。サウナ好きで知られる長嶋茂雄氏や西城秀樹氏が脳梗塞を発症し、最近でも、二所ノ関親方(元大関・若嶋津)がサウナから出た直後に倒れて、一時は意識不明の重体になった。

 秋津医院の秋津壽男院長は、「医師の立場から見れば、サウナは健康に悪いことずくめです」と注意を促している。

「100度近い室内で汗をかくと、急激に発汗するため体に必要なナトリウム、カリウム、カルシウムなどの必須ミネラルが汗とともに出ていってしまいます。さらに脱水症状で血液がドロドロになり、血栓が詰まる可能性が高い。命の危険にもつながりかねない」

 専門家の間でも、意見は真っ二つに割れているのだ。イシハラクリニックの石原結實院長は、“印象論”に惑わされてはいけないとする立場だ。

「著名人がサウナに入った直後に倒れたということをもって“サウナは体に悪い”と印象づける報道が見られますが、サウナに入らずに脳梗塞などで倒れる人の方が圧倒的に多いのです」

 その上で、サウナによって体にどのような変化が起きるかをまず理解すべきだとする。

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