「高血圧の一因として塩分摂取過多があります。塩分を摂りすぎると、血液の浸透圧を一定に保つため、血液中の水分が増えて血液量が増加し、それを押し出す心臓の負担が大きくなって血圧が上がります。サウナに入ると逆に、多量の発汗で塩分と水分が排出され、体が温まることで血管も拡張する。高血圧の要因を排除することになるのです。
サウナで発汗すると、心臓の負担が軽くなることに着目し、鹿児島大学名誉教授で和音療法研究所の鄭忠和所長は、2000年から心不全(心臓のはたらきが弱くなった状態)の患者にサウナ療法を施し、治療効果をあげています」
これはクヌツォー博士の研究結果に対する理論的な説明といえるかもしれない。
◆運動の代わりにはならない
そのメカニズムを理解すると、気を付けなければならないこともわかってくる。“否定派”の秋津院長はこういう。
「日本人の場合は“体調が悪いから入ってスッキリしよう”と考える人が多いことがとりわけ問題なのです。また、サウナの直後に水風呂に入ることは20代でも危険で、高齢者になればなるほど急激な体温変化は心臓麻痺のリスクが生じる原因となります。急激な血圧上昇で血管が傷つき、心臓に負担がかかって突然死する危険さえある」
サウナに入って血管が拡張して血圧が下がっても、水風呂で血管が収縮すれば血圧は上がる。