そうしたなか、現場の住宅街では何人もの“容疑者候補”が浮上したという。メディアから最も“有力視”されてしまったのが、地元の銀行に勤めるA氏だった。
14日、「近所に住む20代」の重要参考人に事情聴取という情報が出ると、A氏の暮らす社員寮には記者やテレビクルー、カメラマンが殺到。小林容疑者が遺体遺棄・損壊の疑いで逮捕されたことが明らかになる直前まで、“犯人扱い”だった。
「とはいえ、何か“証拠”があったわけではない。遺棄現場からも近い社員寮で、A氏はただ一人、独身での入居者だった。単身向けのアパートなども見当たらない地域で、夜中までA氏の部屋だけ灯りが漏れていたため、目立ってしまったようです。さらに寮の駐車場に警察車両が駐まっていたので、“警察に監視されている”という誤解が広まってしまった。有力な犯人候補として、記者が張りついて部屋に出入りする姿を撮影したり、関係先に聞き込みを始める社もあった」(現地で取材した記者)
見かねたA氏の勤務先の銀行が11日には報道各社に対して、風評被害につながる取材を慎むよう要請するFAXを送った。さらに逮捕当日にも、「重要参考人が当行の行員ではないかとの問い合わせをいただいておりますが、当人は本日、朝から勤務地に出勤しており、通常の勤務を行っております」とのFAXを再度送る事態となった。同行の広報担当者は、こう話した。
「間違った方向に報道がいってしまわないようにその都度対応をさせていただきました。警察に対しては(寮の)駐車場を提供して協力しておりました。(行員が疑われたことは)そのために起こったのかもしれません。従業員の保護を最優先して動きました」
※週刊ポスト2018年6月1日号